
【極乃二】何か言いたげに、腹の虫が鳴いている。
一人で生きているなど、思わない様に。

価値と無価値で遊ぶ生き物。
新居での最初の一ヶ月はゴミとの戦いだったみたいだ。予測していたそれを遥かに上回る量の残置物。君は出端を挫かれていた様子だったが、頑張ってなんとかしようとしていた。かつては必要だった物も、時代や主語が変われば単なるゴミになってしまう。価値を無価値にするも、無価値を価値にするも、それは受け手側次第なのだろう。君にとってはゴミとなった大量のそれらを一箇所にまとめ、処分する算段を立てている。が、一人では無謀だと悟って顔を顰めた。

1. 大量の物に囲まれる事が豊かさだった時代は確かにあった。地方の空き家などは殆どがその時代の名残だろう。田舎の家の物量は舐めない方がいい。
2. これだけ物があれば、値打ち物が出て来るのでは?と思うが、そんな事は殆ど無い。遺品整理の際に目ぼしい物は家族、親類が確保しているだろう。宝探しはあまり期待しない事だ。
時間は金で買える。逆もまた然り。
産廃業者が出した見積もりを見て君は閉口している。成る程いい値段だった。ので、少しでも安くしようと孤軍奮闘する事にしたみたいだ。自分で出来る範囲で処分、分別をして、値段交渉も抜かり無く行う。人手が無いので、莫大な時間と労力を消費する事になったが、結果的にかなり節約出来て満足気だった。しかし、君は大切なモノも無くしている事に気付かない。
3. 家一軒分のゴミを捨てようとすると100万は掛かる。その代わり数日で済むだろう。個人で処理するのなら半分ほどのコストで済むかもしれないが、時間と労力を覚悟しなければいけない。
4. 全てを任せるのではなく、自分で出来る所は自分でした方が良い。捨てられる物は自分で捨てて、分別なども行えば業者も多少は安くしてくれる。努力次第では20〜30万ほど節約できるかもしれない。


無くした後にしか観測出来ないコト。
家の片付けがひと段落した翌日。何時もの様に目覚めようとした君のカラダは、動かなくなっていた。それは当たり前で、単純に働き過ぎだったのだ。健康とは損なわれて初めて気が付く。越して来て一ヶ月、休み無く何かしら作業をしていたので、ここらが良い区切りなのだろう。たっぷりの食事と睡眠で、すぐに良くなる筈だ。

5. 行動の変化、環境の変化、季節の変化、etc.全てが身体に関わってくる。一人で何かをするならば人一倍自分を気にかけるべきだ。転ばぬ先に杖を。
6. スケジュールは自分が健康なのを前提に組んでいる場合が殆どだろう。その大前提たる健康を担保する為の時間がスケジュールに乗っているかチェックを。
一番身近な他人は自分。
人間のカラダは一個の独立した生命体では無い。莫大の極小な生命からなる集合体だ。休養とは即ち数兆億の生命体を労わる行為で有る。が、そんな事はどこ吹く風で君は元気になった。食べて寝てればなんとかなるのだろう。気を取り直して新たな作業を開始する。この家を自分好みの巣に改造する魂胆らしい。
7. イギリスの学者アランナ・コリンが面白い本↗︎を出している。これを読めればカラダについての見識が広がるだろう
8. 自分を蔑ろにする者は他者にも同じ事をする。逆もまた然り。そんな者と一生を共有するのは地獄だ。

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